魔法の酒か掟破りか

篠田酒店ドリプラ店の萩原和子です。
先日、昨年度の静岡県ニュービジネス大賞を受賞したベンチャー企業の若い社長さんのお話を聞きました。
受賞対象となったのは、冷却設備などの循環冷却水のパイプの内側に付着する水垢を、電解技術を用いて除去する装置で、従来の薬剤投入、磁石、弱電解などの方法よりも除去効果が高く、除去による熱交換器の省エネ効果や薬剤不使用による環境保護が期待できるというものです。

さらにこの技術を応用すると、水を電解することで大変きめの細かい、やわらかくて美味しい水になる。ワインは、まろやかで熟成感あふれる口当たりの良い味になるというのです。
日本酒で実験したら「純米酒が吟醸酒に変身した」と。聞いていて???な気持ちでした。

さらにさらに、蒸留酒である焼酎もコロリと変身! 仕込んだばかりの焼酎が何年モノの熟成酒に生まれ変わるそうで、実際に5年ほど前に某焼酎メーカーから『掟破り』という銘柄で売り出されました。
私は当時、新聞の記事で知って「まったく不遜な掟破りをしたものだ!」と嘆いたものでした…。

そのベンチャー社長さんは、「電解技術でこんなこともできるという一例であり、考え方は十人十色で良し悪しは判断できない」と言っておられました。
ごもっともな話で、私はむしろ、酒を造る側が、この技術で付加価値を付け、流通させていること自体が哀しかった。…じっくり眠らせる余裕のない、ひょっとして商品としてのレベルに満たないものを、この魔法で誤魔化すことが可能だという話です。コストがかかることですから、安くは売れないと思いますが、逆に話題性で注目されるかもしれませんよね。


私は、人の手で醸される酒には、生命力が宿り、歳月が酒を実らせ、呑む人の魂に喜びを与えてくれると信じていますが、自分の蔵から生まれた酒を、遊び心で変身させ、「ああこんなこともできるのか」と興味を持つ蔵元もいるでしょう。そして今後もこの手の開発が進み、予想だにしない酒が出現するかもしれません。
こんな時代だからこそ、コツコツとタンクの中で悠久の時を過ごすお酒たちと、自然界の不思議の力を次の世代に伝え残す責任があると思いました。
幸いにも、この魔法に関心を持っているのは一部の蔵元だけだそうです・・・。




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2010年05月20日 Posted bymamichan at 09:11 │つぶやき


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